健康食品の危険性とは?マウスを使った実験手法

あまり分析をしたことのない人には馴染みがないかもしれませんが、分析法と一口にいっても何を「測定」しているのかは実際には多様です。化学構造の一部が変化したときにそれをきちんと検出できて区別できる分析法が必要になります。

 

現実にはいろいろな方法を組み合わせて「測定」することが多く、分析だけでも相当多くの機器や人が必要なのです。医薬品の安全性つぎに有効成分である化合物の毒性試験のデータが必要になります。11多くの場合動物を使って試験をしますが、投与してすぐみられる影響(急性毒性)を調べる単回投与毒性試験、ある程度の期間継続して投与して影響を調べる反復投与毒性試験などを行います。

 

反復投与毒性試験には4週間程度の亜慢性毒性試験や2年間にわたる慢性毒性・がん原性試験などがあります。単回経口投与毒性試験では動物の半数致死量(LD50)を導出します。

 

マウス、ラットなどを主に使い、必要な動物の数は通常一つの値(マウスの雄、マウスの雌なら値は二つ)をだすのに数匹です。LD50は、知名度は高いものの安全性評価にとってはあまり役に立つ指標ではありません。

 

死ぬような量を実際に使うことはまずないためで、ただ法律で毒物や劇物などを指定するときにLD50を使うことがあります。医薬品は毒物及び劇物取締法の対象ではないので、参考値でしかありません。反復経口投与毒性試験では、動物に13週間、52週間(1年)、餌に混ぜたりして毎日食べさせて実験終了時に血液を採取し解剖して組織の病変を調べます。この試験で医薬品による有害影響が観察されない無毒性量を導出します。この実験で必要になるのは最低でも何も与えない対照群、低用量群、中用量群、高用量群で、対照群と低用量群で何の影響も見られず、中用量群と高用量群で用量に依存した有害影響が見られてかつ高用量群の毒性が強すぎて動物が途中で死んでしまうことがない、というのが望ましい結果です。その場合、低用量群で投与した用量を無毒性量とできるのです。このような試験をマウス、ラットのようなげっ齧し歯るい類と、それ以外の動物(ミニブタやアカゲザルなど)で複数実施してそれぞれ無毒性量を決めます。生殖発生毒性試験には、親となるべき動物に与えてその妊娠率への影響を調べる受胎能および一般生殖毒性試験や、妊娠中の動物に薬物を与えてたい胎し仔の発育への影響を調べる試験があります。

 

実験動物ごとに子どもの分化12や発育にとって重要な時期がわかっているので、器官形成期投与や周産期および授乳期投与といった実験を行って催奇形性(奇形を生じさせる性質)があるかどうか、胎仔の数や発育の様子などを調べます。

 

齧歯類とそれ以外、の複数の動物種で調べ、無毒性量を決めます。もし催奇形性や子どもの発育に悪影響がある可能性があると、その医薬品は妊娠または妊娠する可能性のある女性に対しては使えない、という注意書きが加えられることになります。

 

遺伝毒性試験には細菌を用いた「復帰突然変異試験」やほ乳類の培養細胞を用いた遺伝子突然変異試験、染色体異常試験(これらはinvitro試験と呼ばれます)や動物に投与してその細胞の核の異常を調べる小核試験などが行われます。

 

遺伝毒性試験は複数の試験で行い、総合的に遺伝毒性が陽性か陰性かを判断します。細菌を用いた突然変異試験で陽性になってもほ乳類細胞では陰性、などというようにいろいろな結果が出ることがあります。

 

がん原性試験ではラットやマウスでの発がん性を調べます。生涯(ラットだと2年間)にわたって薬物を食べさせて全身を調べます。がん原性試験の場合は、何も投与していない、いわゆるコントロール群でも自然発生の腫瘍が観察されますので、まったく影響がない量を決めるのではなく(投与したことによる)上乗せの発症率をもとに発がん性があるかないかを決めるのが主な目的です。これらの試験は長期にわたり、安全性の評価にとって重要なデータとなりますので、実験条件がきちんと守られているかどうか、誰が担当しても同じ結果になると考えられるだけの質が保てるか、データの改ざんなどの余地がないかということを確保するためにGLP(GoodLaboratoryPractice,優良試験規範)という認証制度で質が担保されています。